SYVPソーシャルマーケティング研究会

 

1年間のSYVPの活動成果を、社会に還元するために行っております。

​第8回研究会は、2019年2月23日(土)に多くの方のご支援のもと、無事終了いたしました。

コメンテーターの先生方、ご来場くださった方々、いつも温かく応援してくださっている方々、誠にありがとうございました。
 

来年は、2020年2月22日(土)に開催予定です。

​そこでしっかりと社会還元できるよう、5期生が研鑚を積んでまいりますので、引き続き応援をよろしくお願い申し上げます。

第8回SYVPソーシャルマーケティング研究会 フィードバック

 

No.1 SYVP2018年度の戦略

私たちSYVPがミッションに掲げている「意思表示が当たり前の社会」を実現するためにどのように2018年度の活動の戦略をたてたのかについて話されました。
全体戦略として、「有効なモデル(価値、手法)構築」を行い、それを「社会へ還元するための基礎構築」が掲げられました。活動戦略としては、新しい価値の醸成、新規測定方法の開発、介入方法の開発、MUSUBU2018キャンペーンの4つを軸にして活動が展開されました。
新たな価値の醸成では、3期生が導き出した「誇り」という新たな価値の醸成に向けた探索調査が行われました。新規測定方法の開発では、中之島まつりにおける市民啓発活動で2016年度のビンゴ型アンケート、2017年度スタンプ型アンケートを改良した新たなビンゴ型アンケートの開発が行われ、その有用性の確認がなされました。介入方法の開発では、毎年11月に参加しているサイエンスアゴラの来場者に若年層が多いことに焦点が当てられました。意思決定プロセスを理解し、学習できるアプリケーションを開発し、去年の11月に検証が行されました。幼少期にスキルを身につけることで大学生の段階でスムーズに意思表示を行えると考えられます。MUSUBUキャンペーンでは、MUSUBU2016の分析に基づく課題を踏まえ、「年代別アプローチ」が行われました。また、「信頼性のある支援者を獲得する」ために、SYVPの存在を知ってもらうきっかけとして「1000LOVEプロジェクト」も行われました。

No.2 市民啓発活動におけるアウトカムの測定方法の開発と一般の態度、行動の実

屋外イベントにおいて、参加者の実態を知ったり今後の改善点を把握するためには、アンケート調査が必要ですが、わざわざ立ち止まって回答してくれる人が少ないのが現実です。回答者に負担をかけずに実態把握をするために有効な方法2つを導く研究についての発表でした。

<中之島まつりにおける穴あき型アンケートの開発>
この穴あき型アンケートは名前の通り「穴あき型のアンケート」です。過去のSYVPの活動をもとに、介入の効果測定において重要な質問項目に優先順位をつけ、少ない質問数を設けました。その質問に対してイベント参加者に穴抜きで答えてもらうものです。
このアンケート形式により得られた有効投票数は483名でした。20代未満、30代、40代、50代、60歳以上といった様々な年代からの回答を獲得できました。
穴あき型アンケートの使用感想として、「アンケートをスムーズに回収できた」や「よりアンケートの回収時間が軽減された」が挙げられました。一方で、「解答欄の文字が小さい」、「少し押しづらいと感じることがあった」など改善の余地もあると考えられました。
今後は、対面式での「時間的制約がある中で、より効率的で効果的な介入方法を模索していくこと」、「より回答がしやすいデザイン」を考えてより効果的に活動を測定する必要があると考えられました。

<Green Pride Fesにおけるバタフライフォールの開発>
このバタフライフォールは臓器提供の意思表示について広い年代にアプローチをかけてデータを集めるために開発されました。
回答者の臓器提供意思表示の現状を5段階(1関心なし、2関心あり、3意思決定しているが意思表示していない、4意思表示している、5意思表示をしていてそれを周囲に共有している)として、一番近い段階にあてはまる色をしたハート型の付箋を選んでもらい、一枚の紙の上に蝶々がとんでいるように表すものです。
介入は①接触 “「紙の上で一緒に蝶々を飛ばしませんか?」と声をかける”、②介入 “自身の意思表示段階の付箋を選んで貼ってもらう”、③ “その現状になったきっかけを聞く”という順序で行いました。
バタフライフォールによる調査で124人のデータを集めることができました。

同調査では、被験者に介入を行う時は、“アンケートに協力してください”と言うよりも“蝶々を一緒に飛ばしませんか?”と言うほうが答えてもらいやすいこと、視覚的に他者と自分の違いを見てもらうことで意思表示について家族や友達と話してもらうことにつながるということがわかりました。  
またこの調査の被験者は意思表示を重く捉えることなく、楽しくアンケートに答えられたため、多くの母数を獲得することができたと考えられます。

No.3 意思決定を促す科学コミュニケーション媒体の開発

本研究の目的は「若者層に対して、意思決定支援ツールを使用して納得のいく意思決定をしてもらうこと」、また「そのことを通して社会問題に向き合い、行動を起こすためのきっかけを作ってもらうこと」でした。そして、その介入方法として、若者層がSNSの利用方法やゲームに対する関心が高いことを背景に、知識の定着や特定の行動の催促に有効とされている「シリアルゲーム」*を用いました。 
*シリアルゲームとは社会諸領域の問題解決のために作られるデジタルゲームのことです。

介入は11月に東京で開催された「サイエンスアゴラ」で行いました。ブースを出展し、主に若年層を対象に、開発した意思決定支援アプリを用いて意思決定をしていただき、その前後でアンケートをとり、手法の効果や改善点を調査しました。

多くの方がブースを訪れてくださいました。
調査にご協力いただき、分析対象は83名(男性36名、女性47名)でした。
また、職業別では目標層の学生が28名と最も多い結果でした。
アンケート項目の「自分で意思決定していると思いますか」という回答では、介入前の75.6%から介入後の91.7%に増加していることから、意思決定支援アプリが役立ったのではと考えられました。
また、アプリケーションの介入に対して満足したという来場者は79.7%であったこともわかりました!! 
アプリケーションを用いた介入は、ゲームにより意思決定のハードルが下がった、楽しかったとの来場者の声から有用であったと考えらえます。
しかし、ターゲット選定・質問項目の選定には注意を向ける必要があり、今後のアプリケーション改善に向けては、主に小・中学生が抱える問題を対象として開発を続ける必要性が考えられました。

No.4 AIとARを使った理想の移植医療科学館を創る

12日13日の2日間大学生と高校生が一緒にテクノロジーを学びながら、課題解決にテクノロジーがどのようにすれば応用できるのか考え発表しました。
人工知能と拡張現実について学びました。
そもそも「ハッカソン」とはうまく使うという意味の「ハック」とマラソンを掛け合わせた造語で、特定の問題に対する解決案を競い合うもので背景が異なる人たちが積極的に参加します。
1日目は、人工知能と拡張現実を学び福井県立恐竜博物館で使える子供向けデジタル教材を考えました。
人工知能が社会に浸透するとこれまでは解決できなかった問題をどう解決できるようになるのか。
例えば、自動運転技術が浸透すれば毎年90万人の人が交通事故で亡くなるのを防ぐことができます。
ハンズオン形式で実際に知識を与えることと、感情認識の人工知能を体験しました。
続いて、AR拡張現実についても学びました。ARとは肉眼で見ている視覚情報にCGを重ね合わせる技術のことです。昨年の国民推進大会では、ARを使った学習教材を開発し体験してもらいました。今回は、この学習教材開発手順の最初の部分を学びました。
スライドに出されたについて、課題大学生と高校生の共同チームで解決案を考えました。実際の博物館の資料を見ながら、展示方法や説明にどのような課題があるのか考えました。
博物館には様々なディスプレイや仕掛けがありますが、人工知能と拡張現実を使えば何ができるようになるのか想像力を働かせました。
2日目は、1日目の発表と理想の移植医療科学館について考えました。
はじめに1日目に出し合った案をそれぞれ発表しました。乗り物で科学館を周り、タブレットを覗くとARの技術によって様々な恐竜が映し出されたり、博物館の来場のリピート率を課題としAIで来場者の顔を確認して博物館に来るたびにARで映し出される恐竜が成長するなど様々な案が出ました。
移植医療博物館の理念は、①人体や生命を科学的な観点に立って学べること ②移植医療の制度やその重要性を学べること ③子供が関心を持てること ④親子で学べる仕組みがあること ⑤テクノロジーを使って理解を深められること これら5つをテクノロジーを使って実現することが目標でした。
課題1と同じようにグループに分かれてアイデアを出し合いました。最後にポスター発表を行いました。親と子供で学ぶ内容を変えて子供は体験することを重視し、親は臓器の働きなど医学的な知識を得ることができ、親子で学べる教材開発など様々な案が出ました。

今回行われた「ハッカソン」では実施にテクノロジーにふれて、人工知能を使ったらなんでもできそうという漠然としたイメージから、何ができて、何が必要なのか、どこが限界なのか、わかるようになり体験して移植医療を学べる視覚の幅が広がりました。
今後も同志社大学の私たちとお互いに学び合う「ハッカソン」を定期的に開催していきたいです。
今年の10月に開催されるMUSUBU2019に向けてこれまで開発してきたものをパワーアップさせさらに新しいアイデアも実現して、小さな形でも移植医療科学館のパイロット版を完成させていきたいです。

No.5 「誇り」の醸成のための要素導出

意思表示の価値を考えるにあたり、モノ・サービスの価値を普及させ定着させるブランディング戦略の理論を整理した結果、アーカーが提唱した、ブランドの構成要素「機能的便益」「情緒的便益」「自己表現便益」に着目しました。
我々の3年間の調査の蓄積から、意思表示は「家族へのメッセージ」という価値が導出されました。
しかし、これは意思表示の持つ「機能的便益」であり、より意思表示行動の価値を普及させるには「情緒的便益」が必要であると考えました。
一般消費材において、情緒的便益とは、その商品・サービスを消費することで得られる便益のことです。「意思表示」においては、意思表示をすることによって得られる感情であると考えました。

瓜生原の研究から意思表示は「誇り」という社会規範が、一つの可能性として導出されました。
したがって、「誇り」について先行研究を調査した結果、①誰しもが共通して持っていると考えられる概念 ②一般的に多くの人がポジティブに捉えるという概念 ③向社会行動を動機づける効果のある概念 この3点の概念を持ったものだということがわかりました。
これらの特徴があることから「誇り」は、意思表示の価値観となりえるのではないかと考えられるので、「誇り」という問題をつかむ調査が2017年度に行われました。
その結果、「誇り」を感じる場面は、大学受験や部活動などの”自己の目標を達成した”際に多く見られ、他者からの賞賛は大きく影響しないという回答が多く見られました。
また、評価されなくても自分の基準を満たしていれば「誇り」を感じるという意見も多く見られました。これらのことから、「誇り」は内的基準を達成した時に想起され、他者からの評価には大きく影響されないと考えられました。
また、誇りの動機付け機能は大学生にも効果的であることが示唆されました。

では、「誇り」を感じたことによって意思表示し自己表現ができるような価値観まで醸成させるためにはどうすればよいでしょうか。
そこで今年度、「誇り」を持つための内的基準となる要素、「誇り」を形成に要する時間、「誇り」を持たない要因を明らかにするために調査しました。
94名の大学生にアンケート調査を行った結果、75%が「誇り」を持っていることがわかりました。
また、「誇り」の形成には1週間から1年と多くの時間を費やさなければならないこと、内的基準では「目標」「達成」に共起という1つの文章で同時に出現する回数が多く2つの要素は結びつきがでることがわかりました。
さらに、周囲からの評価が「誇り」の形成に重要であることもわかりました。

意思表示の「誇り」という価値を見出して社会に普及させるためには、闇雲にアプローチするのではなく、しっかりとロジャーズイノベーションの普及理論を理解してそれに基づいてアプローチする必要があると考えます。
「誇り」のターゲットの設定としては、イノベーションを受け入れてくれる「イノベーター」をターゲットとしてアプローチすることが大切です。
具体的には、SYVPの活動に注目してくれて、応援してくださっているような人が当たるのではないかと考えています。

今年度までの研究を元に、来年度さらに具体的なモデルの形成などの研究を進めていきます。
「はい」「いいえ」どちらの回答であっても「自身で考え意思表示をしたこと」それ自体を誇りに思うことができる社会の実現を目指したいと考え、今後活動していきます。

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