多くの人に支えられて2018年を無事終えることができました。皆さま、どうもありがとうございました。
2018年、最も嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいになったのは、全身全霊を傾けて打ち込んだ研究に対して、賞をいただいたこと。 受賞の通知を受けた時、涙と感謝の気持ちが溢れました。 なぜなら、その研究には、長いストーリーがあったから。
大学を卒業して約30年、3つの転機がありました。 1つ目は28年前、オーストラリアで肝移植を受けた男の子と親御さんとの出会い。 「困っている人を救える社会を創りたい」という一生をかけて果たしたい夢Aspirationをもつことができ、研究の原点となりました。
2つ目は、そのaspirationを達成するために必要なエビデンスを積み重ねるため、43歳で製薬企業を退職し、経営学の研究者の道を歩み始めたこと。 決して簡単な決断ではなく、その後も困難続きでしたが、強い信念をもって覚悟を決めた時でした。
そして3つめが、学生生たちとともにShare Your Value Projectというアクションリサーチプロジェクトを立ち上げ、社会実装を始めたこと。 「より良い社会を創る」ためには、エビデンスを構築して論文として社会還元をするだけではなく、そのエビデンスを用いて、自ら行動を起こそうと思いました。 ただし、一人で立ち向かうのではなく、次世代を担う若者たちとともに取り組もうと思いました。 彼(女)らが社会で活躍するころ、山積する社会課題の影響を直接受けることが必至です。 だから、一人一人が様々な社会課題に思いを馳せ,主体的に深く考えて行動し,その価値ある考えや行動を共有し,連鎖する社会を一緒に創りたいと思いました。
しかし、学部生とともに社会で研究活動をすることは、周囲の理解など多くの障壁がありました。 研究の中止を要請する脅迫状が届くなど、苦しいことも多かったけど、 何より信じて一緒に取り組んできたSYVPの学生たちの純粋で情熱あふれる気持ちに応えたいと思った日々でした。
評価対象となる研究成果報告は、5万字以上が必須。 だけど、2月の時点で、まだ全然書けていなくて絶望的でした。 でも、2週間篭りきってひたすら書き、気づくと25万字に達していました。 それ程にも魂を込めて書くことができたのは、 この研究が、28年前の親御さんとの約束を果たすことにつながるから。 そして、一緒に研究に取り組んでくれたSYVPの学生たちに、 共に歩んできたことを書くことで、最大限の感謝の気持ちをカタチにしたかったから。
だから、その研究成果を評価していただけたことが、ただただ有難く、深い感謝と幸せに包まれました。
共同研究者の岡田彩先生、SYVPの皆をはじめ、研究活動を支えてくださった全ての方々に、感謝し尽くしてもし尽せないほどです。
先週、AD STUDIESが届き、開けると、吉田秀雄賞の贈賞式の写真と選考経過報告が掲載されていました。 http://www.yhmf.jp/pdf/activity/adstudies/vol_66_09.pdf
『最終選考の対象となった4編の論文中で最高点を獲得していたばかりでなく、選考委員13名中11名の委員が、事前提出の評価表の中で「何らかの賞に値する」との見解を示していた力作であった。 しかも、大半が「準吉田秀雄賞」以上に該当するとの評価であったが、選考委員会の席上で社会的にも意義のある研究内容であり、丹念な研究内容に対して十分に「吉田秀雄賞」に値するとの強力な推薦の辞が続出し、その結果、出席委員のほぼ満票で同賞の受賞が決定したことは、選考に携わらせて頂いているものとしてまことに欣快の至りであった。』 と書かれてあり、感無量でした。涙がごぼれました。
研究とは、常に本質の解明に向けて大胆に挑戦しつつ、緻密に愚直に続けるものだと思います。 感謝の気持ちを深く胸に刻み、学術の進展とより良い社会の構築に微力ながら貢献できるよう、一層の精進をしていきたいと思います。
2018年、支えてくださった全ての方に、心より「ありがとう」をお伝えしたいと思います!
2019年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 新しい年が皆さまにとって佳き年でありますよう心より申し上げます。
2018年12月31日
#吉田秀雄賞
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