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日本ソーシャルマーケティング協会を創設しました!

2025年6月11日、一般社団法人日本ソーシャルマーケティング協会(JSMA)を創設いたしました。

この日を開設日に選んだのには、私自身にとって深い意味があります。

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■6月11日という日

6月11日は、父の命日であり、瓜生原研究室の第1期生が誕生した日です。

広島県庁で40年間、地域福祉の向上に尽くした父の姿勢は、私の「困っている人を支えたい」という原点を育んでくれました。

その思いは、学生たちと共にソーシャルグッドを追究する日々につながり、やがて「日本にソーシャルマーケティングを根づかせたい」という志へと発展していきました。


■ ソーシャルマーケティングとの出会い

ソーシャルマーケティングとの最初の出会いは、2006年5月に遡ります。

大学院で「移植医療の課題解決」をテーマに修士論文を提出した際、ある教授から「あなたが研究したいことはソーシャルマーケティングだね」と声をかけていただきました。

その一言が私の人生を大きく方向づけました。

市民との共創を重ね、実践を深めれば深めるほど、人々の幸福に寄与し得るこの学問の可能性に魅了され、同時にその奥行きと慈愛に満ちた姿勢に強く心を引かれていきました。


■ 協会設立に向けた最初の一歩

本協会設立の最初の契機は、2017年1月、京都で国際ソーシャルマーケティング協会理事長のジェフ・フレンチ先生と初めてお会いしたことでした。

その際、日本でソーシャルマーケティングを本格的に導入し、その意義を広く伝えてほしいと大きな期待を寄せられました。

さらに2018年には、アフリカと南米でソーシャルマーケティング協会が発足した流れを受け、「日本でも協会を設立し、普及を進めてほしい」との言葉をいただきました。

その言葉は、私にとって研究者としての道筋のみならず、人生のライフワーク全体の方向を決定づける、静かで決定的な転機となりました。


■ コミュニティづくりの探求と課題

それ以降、日本のどの領域にソーシャルマーケティングと親和性をもつ研究者・実践者がいるのか探し求め、どのようなコミュニティが必要なのかを模索し続けました。

日本にはPh.D. in Social Marketing を有する研究者がいないため、国際的に位置づけられる学術コミュニティをどのように立ち上げるかは大きな課題でした。

熟慮の末にたどり着いた結論は、

「ソーシャルグッドの実現を志す」

という原点に立ち返ることこそ、日本でソーシャルマーケティングを深化・普及させる最も誠実で力強い道という確信でした。


■ 研究の基盤となったSMRCの設立

その思いを具体的な形にしたのが、2021年4月、同志社大学に設立した「ソーシャルマーケティング研究センター(The Social Marketing Research Centre, Doshisha University:SMRC)」です。

当初、「ソーシャルグッドの実現」に共鳴してくださった11名の研究者が参画してくださいました。

ソーシャルマーケティングを専門としていないにもかかわらず、その理念を理解し、志を共有してくださった先生方には、感謝の気持ちが尽きません。

このセンターがなければ、日本のソーシャルマーケティングの姿は、間違いなく今とは異なっていたはずです。


■ JSMA設立へ—研究の蓄積と人的ネットワークの広がり

SMRCにおいて、多分野との親和性の探求、日本オリジナルの社会課題解決策定プロセスの確立、日本における社会実装事例なの研究成果が積み重なりました。さらに、国内外の研究者、政策立案者、実務者、市民団体とネットワークも拡がってきました。

日本で広くソーシャルマーケティングを普及する準備が整ったと確信したことから、今日、JSMAを設立する運びとなりました。


■共創で育てる、日本のソーシャルマーケティング

JSMAは、まだ小さく生まれたばかりの組織です。

その歩みには、皆さまの温かい応援とご協力が欠かせません。

ソーシャルマーケティングは、市民や政策立案者、実務者、研究者など、さまざまな立場の方々が「共創」によって社会を良くしていく営みです。

日本のソーシャルグッドを実現するため、皆さまと共に歩みを進めていきたいと願っております。


今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


代表理事 瓜生原葉子(同志社大学教授、ソーシャルマーケティング研究センター長)







 
 
 
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